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(※)これは類似業比準価額のしくみの基本説明を省略して書いた記事です。
(1)引下げ効果は弱くなる
生命保険に加入>保険料の全部(一部)を損金に算入>利益が減少>類似業種比準価額の引下
げ、という図式は今後も変わりません。しかし、改正により利益の比重が低くなるわけですか
ら、引下げ効果は弱くなってしまいます。
(2)改正前の引下げ効果
例えば、製造業(大分類)に属する上場会社の三要素の値は、配当3.7円、利益19円、純資産21
2円(平成28年分)です。
もし評価すべき会社が製造業を営んでおり、三要素がこれと全く同じ値だったとすると、配当3.
7/3.7、利益19/19、純資産212/212、ですから約分すると配当1、利益1、純資産1です。
この場合、改正前の分数式は、
1 + 1×3 + 1
5
で、結果は「1.00」です。次に、生命保険加入により利益が1から0.7に減少すると、
1 + 0.7×3 + 1
5
となり、結果は「0.82」です。18%の引下げ効果があることになります。
(3)改正後の引下げ効果
上記と同じく、生命保険加入前の三要素が、配当1、利益1、純資産1だとすると、
1 + 1 + 1
3
で、結果は「1.00」です。次に、生命保険加入により利益が1から0.7に減少すると、
1 + 0.7 + 1
3
となり、結果は「0.90」です。つまり、引下げ効果が10%にとどまります。
(4)以上の事実をどう捉えるか
確かに改正で株価引下げ効果は弱くなりますが、それは、法人契約の生命保険が持つ効果の全体
像(以下)から眺めると、大きなことではないと考えるべきと思います。
生命保険効果の全体像
①死亡保障効果 … 改正でも効果は変わらない
②解約返戻金効果 … 改正でも効果は変わらない
③含み益効果 … 改正でも効果は変わらない
④資金調達効果 … 改正でも効果は変わらない
⑤法人税軽減効果 … 改正でも効果は変わらない
⑥社長個人の安心効果 … 改正でも効果は変わらない
⑦株価引下げ効果 … 改正で効果が減少する