読むセミナー


平成29年度税制改正 > タワーマンション(4) > 改正の内容

 
最終回です。今までのことを踏まえて改正の内容を見ていきます。
(※)以下、平成29年度税制改正大綱の情報だけに基づいて書いています。


前回の新築販売価格と相続税評価額の比較図です。右端の評価減が節税効果を生みました。

この節税をけん制すべく、改正では、建物の固定資産税・都市計画税(固定資産税等)を、各部屋の販売価格に見合ったものにするものです。高層階の部屋はそれだけ税負担が重くなるわけです。

なお販売価格の差は土地ではなく部屋(建物)の価値の違いによるものですから、建物の固定資産税等だけが改正の対象です。

 

そこで、建物の固定資産税等について改正前後を比較してみます。

○建物全体の税額

固定資産税等の税率は原則1.7%です。したがって建物全体の税額は以下のとおりです。

■建物全体の固定資産税評価額4億円 × 1.7% = 680万円

新築当初3~7年間において税額を1/2にする特例がありますがここでは考慮しません。

 

○各戸の税額

改正前

各戸とも同じ床面積なので同じ税額です

■680万円 × 1/40 = 170,000円

改正後

床面積が同じでも均等にせず、1階の部屋を100としてワンフロア―上がるごとに10/39を加えるように配分します。この結果、各戸の税額は下図の右のようになります。
40階建ての場合は、40階と1階の税額格差が1.1倍(178,095円÷161,905円)になります。
(※)実際には税額を「10/39の補正を加味した床面積」で配分します。
(※)下図の税額は端数処理は考慮していません。

ところで、この架空タワーマンションの販売価格の格差は最大2倍でした。もちろんこれは架空の格差ですが、現実においても坪単価格差が1.5~2倍程度の物件は珍しくないと思います(格差がもっと大きい物件もあります)。

このような状態を受けて、今回、固定資産税等という地方税法が改正されるわけですが、結果は建物の「税金」について格差を1.1倍程度にしたにすぎません。

また、この改正は冒頭の「評価減」には影響を及ぼさないと予想されます(税制改正大綱は固定資産「税」の改正についてだけ記載しており、固定資産税「評価額」には言及していません)。


もしそうなら「タワーマンションを利用した節税」の魅力は今後もほとんどなくなりません。その場合は、来年以降に、今度は相続税法の改正を通じて、「評価減」にメスを入れてくるのではないかと思います。

 

(※)なお、上記の固定資産税等(マンション保有中に毎年課される税金)だけでなく、不動
 産取得税(マンション購入時に1回だけ課される税金)も、同様の格差を設ける改正がされ
 ます。いずれの改正も、平成30年度から新築される(平成29.4.1前に売買契約されたものを
 除く)、高さ60m(20階建て程度)を超えるマンションについて適用されます。

ご予約・お問合せ

ご予約

下記からお願いいたします。24時間受け付けております。

お問合せ

ご予約の前にお聞きになりたいことがある場合は下記のお問合せフォームまたはお電話でお願いいたします。

03-6423-0640