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見方・考え方 > 養命酒製造(株)の決算データから、中小企業の社長さんに気づいてほしい事業承継のこと  2017.3.25

●過去10年間の売上高の推移
だれもが知っている薬用酒のロングセラー「養命酒」。製造・販売しているのは養命酒製造株式会社です。
この人気商品のおかげで同社の売上は安定しています。この10年間(2007年3月期~2016年3月期)の売上高はおおよそ110~130億円のレンジで推移しています。
(※)同社は東証一部に上場していますので、決算データが公表されています。

 

●過去10年間の利益剰余金の推移
売上が安定していると、大きな特別損失などがない限り、利益は毎年確実に積み上げられていきます。積み上がった利益は、貸借対照表の「利益剰余金」を見ればわかります。利益剰余金はこの10年間で約80億円増えました。


10年間の推移を「目」で見る
下の棒グラフは、2007年3月期の売上高、利益剰余金をそれぞれ100として、その後の推移を指数化したものです。売上高(オレンジ)は100の前後10%内で横ばい、利益剰余金(ブルー)は右肩上がりです。

●社長さんの関心事
ここからは、中小企業の社長さんの話です。多くの社長さんは、売上については関心が高いのですが、その結果としての利益剰余金への関心は低いようです。
養命酒製造(株)のグラフを借りていえば、オレンジの動きには敏感ですが、ブルーの動きには必ずしも敏感ではありません。


●事業承継の難しさの原因
利益剰余金は会社の純資産の主要部分を構成します。したがって利益剰余金が増える=純資産が増える、ということになります。
純資産が増えると、自社株式の相続税評価額は、「類似業種比準価額」でも「純資産価額」でも上昇します。
自社株式の評価額が高くて相続税が大変、財産のほとんどが自社株式で遺産分割が大変、などの事業承継の難しさはこれが原因の一つです。


●社長さんに気づいてもらいたいこと
安定的に売上を挙げている会社の社長さんに気づいてもらいたいこと。それは自社株式の評価額は、時間が経てばたつほど上昇する傾向にあるということです(経済環境も影響するので絶対ではありませんが)。
しかし社長さんは、グラフのオレンジばかり見ています。「ブルーも見てもらう」、それが事業承継を難しいものにしないための第一歩です。

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