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【続報】下記トピックスの経過報告です。 2018.06.12
・2018年(平成30年)04月25日…東京高等裁判所において納税者が逆転敗訴となりました。
・2018年(平成30年)05月09日…納税者が最高裁判所に控訴しました。
・結論はこれからです。

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最近の裁判事例 功績倍率4~5倍でも適正な役員退職金。現実になるか? 2018.04.12

最終結論はまだですが、興味深い判決ですので掲載します。
今回の判決は東京地方裁判所(平成29年10月13日)です。課税庁が控訴したとのことですので、今後は東京高等裁判所に移って再度その是非が争われます。

役員退職金の適正額に関する事件です。功績倍率(功労加算含む)が争点となりました。以下がサマリーです。


●納税者が主張した功績倍率 … 6.5倍(功績倍率5倍×功労加算1.3)
240万円(最終報酬月額)×27年(勤続年数)×5倍(功績倍率)×1.3(功労加算)
= 約4億2000万円


●課税庁が主張した功績倍率 … 3.26倍(課税庁が抽出したサンプル企業の平均功績倍率)
240万円(最終報酬月額)×27年(勤続年数)×3.26(功績倍率)= 約2億1千万円

●裁判所が結論づけた功績倍率 … 4.89倍(課税庁の主張×1.5) 

240万円(最終報酬月額)×27年(勤続年数)×4.89(功績倍率)= 約3億1千万円


●裁判所の判断
主要点は以下の①~③です。

①…(課税庁の調査による)平均功績倍率を少しでも超える功績倍率により算定された役員退職給与の額が直ちに不相当に高額な金額になると解することはあまりにも硬直的な考え方であって実態に即した適正な課税…に反することにもなりかねず相当であるとはいえない。

②…役員退職給与として相当であると認められる金額は事後的な課税庁の調査による平均功績倍率を適用した金額からの相当程度の乖離を許容するものとして観念されるべきものである。

③その乖離は、
少なくとも課税庁の調査による平均功績倍率の数にその半数を加えた数を超えない数の功績倍率である。
 

●現実になるか?
この判決からすると、次の①~④の流れで功績倍率4~5倍まで適正範囲になる事例が続出するかもしれません。
①ある会社の役員退職金の過大認定をすべく、課税庁が同業他社のサンプル企業(複数)を抽出して、その平均功績倍率を調べる。
②それらのサンプル企業は、従来の常識から功績倍率3倍程度としていることが少なくない。
③その結果、サンプル企業の平均功績倍率が3倍程度になる。
④そうすると、その1.5倍の4~5倍までは適正範囲になる。
今までの役員退職金の常識を変えるのか、裁判官の行き過ぎた判断だったという結果になるのか。今後の東京高等裁判所の判決に注目です。

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