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役員の分掌変更(みなし退職)は認められるか?
役員報酬を1/2以下にしたが、なお従業員給与よりはるかに高額な場合 
2018.06.27

●認められると考えられます。
過去の裁決事例(平成18年11月28日)から判断するとそう考えられます。同裁決では次のように述べられています。
「原処分庁(税務署)は、辞任後も他の従業員給与をはるかに超える額の給与等の支給を受けているから取締役としての地位にある旨主張するが、上記認定事実からすると、Aに支給する金額の決定は、同人の行う職務内容等を基礎としてされたものとは認められず、単に代表取締役退任時の役員報酬の額の半額とする旨の合意に基づいてされたにすぎないから、その金額の多寡のみをもって直ちに同人が取締役としての地位にあるものと言うことはできない。

●ここでお伝えしたい論点
代表取締役から代表権のない会長などになり、役員報酬を1/2に減らし、実質的に経営にタッチしていないのに、減らした役員報酬がなお従業員給与をはるかに上回るという理由だけで、分掌変更(みなし退職)による退職金支給が否認されるか、という点です。上記裁決(※)からすると、その理由だけで否認されることはないといえそうです。
(※)上記裁決における実際の争点は、役員報酬の1/2以外にもいくつかありました。
<事例>
役員報酬(月額)500万円を1/2に減らして250万円としたが、従業員の平均給与(月額)は30万円である。

●別の論点では注意
上記のとおり分掌変更(みなし退職)は問題ないとしても、みなし退職後の会長の報酬額が、その職務内容からして過大ではないのかという問題が別にあります。過大と認定されると過大部分は損金不算入になってしまいます。
先ほどの事例でいうと、月額報酬250万円は、分掌変更(みなし退職)の判定上は問題ないが、その後の会長としての職務内容からして過大ではないか、という点です。

●更なる論点に影響
会長として受取る報酬が過大認定されてしまうと、二回目の役員退職金(会長が完全退職する時の退職金)の適正退職金が下がります。その結果、二回目の役員退職金のために設計した生命保険プランについて見直しの必要性も生じるかもしれません。

●結論
役員の分掌変更(みなし退職)後の役員報酬を決める時は、単にみなし退職が認められるために「現行額の1/2以下」にするだけでなく、みなし退職後の過大役員報酬を回避するために「絶対額」の視点でも検討することが大切です。

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