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名義生命保険は遺産分割の対象外、名義預金は遺産分割の対象、である理由  2018.09.12

※この記事は法律の通説を前提として私見を書いています。

●遺産分割の対象外、遺産分割の対象、それぞれの理由
理由は「法律上の所有者が誰か」という点にあります。法律上の所有者について、通説では、生命保険は契約者(保険料負担者ではなく)、預金はお金の拠出者(名義人ではなく)です。

したがって、名義生命保険(例:契約者が子、保険料負担者が被相続人)や名義預金(例:名義人が子、お金の拠出者が被相続人)と遺産分割の関係は次のようになります。

(1)名義生命保険
法律上の所有者は契約者である子です。したがって被相続人の財産ではありませんので、遺産分割の対象外となります。。
(※)ここでは被保険者が被相続人以外であることから死亡事故が発生していない生命保険が前提です。

(2)名義預金
法律上の所有者はお金の拠出者である被相続人です。したがって被相続人の財産として遺産分割の対象となります。
(※)ここでは名義人がその存在を知らない等ゆえ名義人へ贈与されていないことが明らかな預金が前提です。


●名義生命保険・名義預金と相続税との関係
名義預金は被相続人の財産ですから相続税が課されることは当然です。

一方、名義生命保険は法律上の所有者が子であるにもかかわらず相続税が課されます。その理由は以下の通りと考えられます。

保険料負担者が被相続人であるにもかかわらず法律上の所有者は契約者たる子である。このことを経済的に見ると被相続人から子へ生命保険料相当額の生前贈与があったことにほかなりません。

しかし契約者が子であることだけでは贈与税は課されません。税法では、契約者はまだ解約して解約返戻金を受取っておらず、契約が継続しているから贈与税を課税するタイミングではない、と考えてます。

このように贈与税の課税はないわけですが、その代わりに、契約が継続したまま保険料負担者が死亡した場合には、その時点でその契約を被相続人(保険料負担者)の相続財産とみなして相続税を課すことにしたのでしょう。

なお、相続税が課される時のその契約の相続税評価額ですが、被相続人が負担した生命保険料そのものではなく、死亡時における解約返戻金相当額になります。

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