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現行の相続時精算課税のそもそも(3)~なぜ暦年贈与と併存するのか~ 2023.02.06

●お伝えしたいこと
令和5年税制改正で、令和6年から相続時精算課税の贈与に新しい110万円非課税制度ができる予定です。そこで新制度を使いこなすために、そもそも現行の相続時精算課税とはどんなしくみなのか、を何回かに分けて連載します。

●なぜ暦年贈与と相続時精算課税の贈与が併存するのか
それぞれの目的が違うからです。

●暦年贈与の目的 … 相続税の減少防止(税収の確保)
少ない基礎控除(年110万円)と高い税率(10~55%)で贈与をしにくくすることによって相続財産を減りにくくし、もって相続税の減少を防止することです。
贈与そのものは自由ですのでこれを禁止することはできません。しかし自由のままにしておくと将来の相続税対象となるべき相続財産が少なくなり相続税が減ってしまいます。そこで贈与をしにくくしているのです。
ちなみに、贈与がしにくくても「毎年少しづつコツコツ」などの工夫をしながら贈与をすればその分相続税を減らすことはできます。ところが国税庁はこのコツコツ贈与による相続税減少も一定程度防止する策を講じています。それが相続前3年以内の贈与財産の加算制度です(令和5年改正で7年になる予定)。

●相続時精算課税の贈与の目的 … 経済の活性化
大きな基礎控除(生涯で2500万円)と低い税率(一律20%)で贈与をしやすくすることによって次世代に早めに資産を移転して経済の活性化を図ることです。
たとえば子供がマイホームを買うので1000万円を贈与したいと思っても暦年贈与では多額の贈与税が課されるので断念してしまいます。このことは若い世代の住宅購入を抑制する一因になりかねません。そこで経済活性化の足を引っぱらない贈与制度として創設されました。
もちろん贈与には相続税減少という副作用がありますので、贈与しやすくするかわりにその贈与額は必ず将来の相続税課税対象にすることを条件としているわけです。

●二つの贈与の使い分け
以上からわかるように、相続税を減らしたければ暦年贈与、子や孫に早めに贈与したいだけなら相続時精算課税贈与、ということになります。これが使い分けの基本形です。
ところで令和5年税制改正ではこれらの贈与にいくつかの改正が加えられました。改正後の贈与の使い分けは基本形をベースにしながらも応用を利かしていくということになります。

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