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法人から個人への契約者変更~保険評価額の原則と例外 2023.08.21

●お伝えしたいこと
次の①②の生命保険はいずれも法人の資産計上額が100で解約返戻金が60です。これらを法人から個人へ契約者変更する場合、①は解約返戻金の60を、②は法人の資産計上額の100を保険の評価額として課税処理をします。
①終身保険
現在の法人の資産計上額100 現在の解約返戻金60
②最高解約返戻率50%超えの定期保険・第三分野保険
現在の法人の資産計上額100 現在の解約返戻金60

●契約者変更時の保険評価額は、原則は解約返戻金、例外で法人の資産計上額
所得税基本通達でそのことが確認できます。下記通達文の(ア)が原則、(イ)が例外です。そして(イ)には次の二つのことが書かれています。
◇解約返戻金が法人の資産計上額の70%未満である場合は資産計上額とする
◇上記は法人税基本通達9-3-5の2の適用を受ける保険に限る
法人税基本通達9-3-5の2とは最高解約返戻率50%超えの定期保険・第三分野保険の保険料処理を定めたものです。以上から例外は、解約返戻金が資産計上額の70%未満で、かつ、最高解約返戻率50%超えの定期保険・第三分野保険である、場合に適用されます。
所得税基本通達の要約
(ア)役員、使用人に対して生命保険を支給した場合には解約返戻金の額により評価する。
(イ)ただし、
解約返戻金が資産計上額の70%未満である保険契約(法人税基本通達9-3-5の2の適用を受けるものに限る)を支給した場合には当該資産計上額により評価する。

●冒頭の①②の保険
冒頭の①②の保険はいずれも解約返戻金が60ですから法人の資産計上額100に対して70%未満ですが、①は法人税基本通達9-3-5の2の保険ではない終身保険ですので原則の解約返戻金60が、②は同通達9-3-5の2の保険ですので例外の資産計上額100が評価額となります。
なお最高解約返戻率50%以下の定期保険・第三分野保険は法人税基本通達9-3-5(「の2」がついていない通達)に定められているので原則の解約返戻金で評価します。

●例外ができた背景
保険の評価額はもともと解約返戻金だけでした。しかしホワイトデイショックといわれている令和3年の通達改正により例外が定められました。この改正は低解約返戻金型定期保険の名義変更プラン(解約返戻金が高額になる直前に法人から社長個人へ低解約返戻金で契約者変更する節税スキーム)を封じるためにとられた措置です。

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