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弔慰金には純資産価額を下げる効果がない 2023.09.11

●お伝えしたいこと
株式の相続税評価額の一つである純資産価額において、死亡退職金は純資産価額を下げる効果がありますが、弔慰金にはその効果がありません。

●事例で確認
・社長の持株割合
 100%
・社長の持株全部の相続税評価額
 純資産価額で評価されその額は100(死亡退職金・弔慰金の考慮前の金額)
・社長死亡による死亡退職金・弔慰金
 死亡退職金30、弔慰金10
この事例の場合、死亡退職金30と弔慰金10を考慮すると純資産価額100は、60(純資産価額100-死亡退職金30-弔慰金10)ではなく、70(純資産価額100-死亡退職金30)になります。

●死亡退職金で純資産価額が下がる理由 … 死亡退職金は課税されるから
純資産価額はおおまかにいうと「資産-負債」の額です。死亡退職金は「資産-負債」の額を減らします。具体的には純資産価額の計算において負債に「未払退職金」として計上します。したがって負債がその分増えることになり、「資産-負債」の額が減るわけです。一方、死亡退職金はみなし相続財産として課税されます。したがって死亡退職金によって純資産価額が下がっても死亡退職金が新たな相続税の課税対象になるので相続税が減少しません。つまり、死亡退職金がある場合でもない場合でも相続税の課税対象は同じなので、両者間の課税の公平性が保たれているので適正な税制になっています(注)。
(注)死亡退職金の非課税について
上記は、死亡退職金があってもなくても全体の課税対象額は同じであるべき、という課税の公平の視点によるものです。一方、これとは全く別の視点、つまり、遺族の生活保障から設けられたのが死亡退職金の非課税です。したがって、課税の公平を考える際には死亡退職金に非課税があることを考慮しません。結果として死亡退職金は非課税部分も含めて純資産価額を下げることになります。

●弔慰金で純資産価額が下がらない理由 … 弔慰金は課税されないから
弔慰金も死亡退職金と同じように「未払弔慰金」として計上すると、「資産-負債」の額が減ります。しかしそれを認めると、弔慰金は非課税ですから、純資産価額が下がるだけになってしまい、相続税の課税対象が減ってしまいます。つまり、弔慰金がある場合とない場合で課税の公平性が保たれなくなってしまいます。したがって弔慰金はたとえそれを支給する予定であっても純資産価額の計算では負債に計上しないルールになっています。

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