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最新の裁決事例  役員の分掌変更(みなし退職)による退職金が認められなかったケース 
2018.04.04

●先月、平成29年7月~9月分の裁決事例が公表されました。その中から表題のケースをご紹介します。

●役員の分掌変更、いわゆる役員の「みなし退職」による退職金が認められるのは、下記の(1)ではなく(2)です。
(1)代表取締役から代表権のない会長等になり、役員給与を半分以下にすれば、会社を完全に辞めていなくても、退職金を受取ることができる。

(2)代表取締役から代表権のない会長等になり、役員給与を半分以下にし、「実質的に経営していなければ」、会社を完全に辞めていなくても、退職金を受取ることができる
両者の違いは、「実質的に経営していなければ」の有無です。


●このケースにおいて、税務署は、代表権のない会長になり、役員給与を半分以下にしたことは認めるが、実質的に経営していたので、同人に支給した金員は退職金と認められない、と主張しました。そして国税不服審判所もそれを認めました。

●税務署が、
実質的に経営していたと判断した根拠は以下のとおりです。
①仕入価格決定に関与していた
分掌変更後も、仕入単価についてそれらの決定権を有する事業所長らから報告を受けて承諾し、M社の担当者から輸入取引に係るファックスを受信し自ら当該取引の承諾を行っていた。
 ②接待業務に関与していた
分掌変更後も、取引先の役員幹部に対して自ら飲食等の接待を行い、また、得意先に配布するギフトカードの管理を行っていた。
③影響力のある地位を保っていた
分掌変更後も、ほぼ毎日請求人の事業所に出勤し、毎月1回の会議で全職員に対し安全管理の徹底等を指導するなどしていた。また、後任の代表取締役の役員給与より高額な給与を受け取っていた。
 ④資金調達等における重要な判断を行っていた
分掌変更後も、金融機関の担当者との間で金利の折衝業務を行い、金融機関からの保有不動産の有効活用に係る提案に対応していた。
 ⑤役員等の人事権を有していた
分掌変更後も、K所長を退職させること、Fを専務取締役から降格させること、を決めた。
 ⑥重要な経費の支出に関与していた
分掌変更後も、トラック輸送時の沿線住民に対する住民対策費の支払に関して支出決定等の最終判断を行っていた。

●上記①~⑥は、「実質的に経営していた」とは具体的にどういうことか、の判断に大いに役立ちます。ご参考にしてください。

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