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代償分割のつもりが相続人間の贈与になる場合(その2) 2018.05.07

●贈与になる場合とは以下二つです。
① 生命保険金そのものを対象に代償分割してしまった
② 相続した遺産を超える代償分割の金銭を支払ってしまった


代償分割とは、遺産が現物分割しにくい場合に用いられる方法です。具体的には、まず、ある相続人が遺産を取得し、その代わりに取得した遺産額の範囲内で、他の相続人に金銭等を支払うという分割の仕方です。

①は一番目のアンダーラインに、②は二番目のアンダーラインに関係します。今回は②をご説明します(①は前回でした)。



●まず、代償分割をおさらいします。

遺産分割協議書で、代償分割による相続人間の金銭のやり取りを明記すれば贈与になりません。事例の場合、代償分割の結果、遺産の配分は子A子Bともに50になります。


ちなみに子Aに金銭50がない場合、その財源として生命保険金(※)が活用されます。
(※)保険料負担者=父、被保険者=父、受取人=子A

●代償分割のつもりが贈与になる場合②
相続した遺産を超える代償分割の金銭を支払ってしまった


この事例は、以下の二番目のアンダーラインに関係します。
「代償分割とは、遺産が現物分割しにくい場合に用いられる方法です。具体的には、まず、ある相続人が遺産を取得し、その代わりに取得した遺産額の範囲内で他の相続人に金銭等を支払うという分割の仕方です。」

ご存じのとおり死亡保険金は遺産(本来の相続財産)ではありません。子Aが取得した遺産は不動産100だけですから、アンダーラインの「取得した遺産額の範囲内で…」は「100の範囲内で」ということになります。
それに対して、事例では125の金銭のやり取りをしています。したがって、125のうち100を超える25は代償分割ではありませんので、子A子B間の贈与となるわけです。

●補足
現行法に基づく取扱いは以上です。ところで、子Bが125全部が代償分割による金銭のやり取りなので贈与はないと裁判で主張したらどうなるでしょうか。個別事情が考慮される裁判では上記の説明と異なる結果になることがあるかもしれません。しかし実務においては、事例のような遺産額を超える代償分割の金銭のやり取りは避けるべきです。

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