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経理処理シリーズ~自動振替貸付~   2020.07.31

新型コロナウイルスによる資金繰り対策で自動振替貸付の適用を受ける会社も多いと思います。そこで自動振替貸付の経理処理を確認しておきます。

・自動振替貸付が適用される保険種類とします。
・保険料は年払いでその1/2が損金計上されるとします。
・自動振替貸付は猶予期間満了日に適用され利息は年単位の契約応当日に元金繰入とします。

●本来保険料を払込むべき時
保険料の支払をしないのでこの時の処理はありません。またこの時点では自動振替貸付は適用されないのでその処理もしません。

借方 貸方
***    ** ***    **



●自動振替貸付が適用された時(例:保険料100)
猶予期間満了日に自動振替貸付が適用されたら次の処理をします。ただし、生命保険会社から「自動振替貸付のお知らせ」を受け取ってその事実を認識することも多いと思います。その場合はその通知を受け取ってから処理すればいいのですが、経理処理の日付は自動振替貸付が適用された日とするのが正しいです。

借方 貸方

前払保険料   50

支払保険料   50

借入金    100

保険料相当額を生命保険会社に立て替えてもらったことになりますので、貸方は現預金ではなく借入金となります。ところでこの取引の処理を忘れることが実務ではよくあります。現預金の動きがないので取引を見落としがちなためです。保険料の全部または一部が損金となる保険料の場合、忘れるとその分法人税等を多めに払うことになってしまうので気を付けましょう。


●利息が発生した時(例:利息3)
その後の契約応当日に生命保険会社からの通知(利息は借入元本組入れ)を受取ったら次の処理をします。これも通知で知った日ではなく利息が発生した日(契約応当日)の日付で処理するのが正しいです。

借方 貸方

支払利息    3

借入金     3

支払利息は経費に計上できます。なお一般的に利息は借入元本に組入れられますので、この時点で借入の累計額は103(自動振替貸付の保険料100と利息3の合計)となります。この取引も忘れがちです。金額は僅かかもしれませんが、忘れると法人税等を多めに支払うことになってしまうので気を付けましょう。


●自動振替貸付に係る借入金を返済した時(例:借入累計額103・返済時に発生する利息1)
返済する際は、直近の契約応当日~返済日に新たに発生した利息も支払うことになります。

借方 貸方

借入金   103

支払利息   1

現預金   104

 

●借入金を返済せずに解約した時(例:解約時の解約返戻金500・資産計上の累計額300
借入累計額・返済時に発生する利息が解約返戻金と相殺され、残余のお金が振込まれます。

借方 貸方

現預金    396

借入金   103

支払利息   1

前払保険料  300

雑収入    200

「いったん解約して解約返戻金を受取り、直後にそれを財源として借入金と利息を支払った」と実質的に同じなので、自動振替貸付がない場合の解約と同額の雑収入が計上されます。ちなみに自動振替貸付がない場合の解約の処理は以下の通りです。

借方 貸方

現預金   500

前払保険料  300

雑収入    200

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