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経理処理シリーズ~払済(原則)~   2020.10.26

新型コロナウイルスによる資金繰り対策で既存の生命保険契約を払済にする会社も多いと思います。そこで払済の経理処理を二回に分けて説明します。今回は原則の処理です。
*保険料が給与課税される契約形態はこのコラムの対象外です。ご注意下さい。

●二つの経理処理
払済の経理処理には原則と例外があります。
*原則 … 洗い替え処理をする
上記の処理後ですが、定期保険・第三分野保険は洗い替え処理により計上した資産を一定のルールで取崩していきます。

*例外 … 経理処理を何もしない
よく「払済は保険種類によっては経理処理をしない」という言い方をしますがこれは正確ではありません。正確には「どんな保険種類でも経理処理をするのが原則。ただし一定の条件に該当する場合は経理処理をしなくてもいいという例外がある」ということです。


●原則の処理
払済時の解約返戻金の額を資産計上します。資産計上の科目は以下が一般的です。
・定期保険、第三分野保険 … 前払保険料
・終身保険、養老保険、個人年金保険 … 保険積立金
払済時の解約返戻金が100だったという事例で説明します。3パターンあります。

(パターン1)払済時の帳簿上の資産計上額が0だった場合

借方 貸方
前払保険料 100 雑収入   100

(パターン2)払済時の帳簿上の資産計上額が60だった場合

借方 貸方
前払保険料 100

前払保険料 60

雑収入   40

(パターン3)払済時の帳簿上の資産計上額が120だった場合

借方 貸方

前払保険料 100

雑損失    20

前払保険料 120

上記3パターンの処理後、定期保険・第三分野保険は資産計上額を一定のルールで取り崩していきますが、その説明は省略します。

●原則の処理のコンセプト
上記の赤文字に注目してください。3パターンのいずれも経理処理の結果、払済時の解約返戻金100が帳簿に資産計上されることになります。このように、その保険について新規加入から今までに記帳してきた資産計上額をリセットして、払済時の解約返戻金を帳簿に正しく反映させる処理を洗い替え処理といいます。そして、それに伴い必ず雑収入や雑損失が発生しますが、その発生の仕方が3パターンあるわけです。

●社長さんのご希望という視点から経理処理を眺めると…
この雑収入や雑損失は損益計算書の利益や税金の増減に影響します。したがって、社長さんが次のようにおっしゃることもあります。
・雑収入が生じるケース
「払済したいが税金が増えるのは困る。経理処理しなくて済む方法はないか」
・雑損失が生じるケース
「払済したいが損失が生じるのは困る。経理処理しなくて済む方法はないか」
これらに応えるのが払済の例外処理です。次回説明します。

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