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全額損金といわれる保険料の経理処理~全期払いと短期払いでは違う~   2021.06.17

●お伝えしたいこと
「最高解約返戻率が50%以下なら保険料は全額損金です」とよくいいます。このことは、契約が全期払いでも短期払いでも同じですが、両者は損金計上できるタイミングが違います。

・全期払いの場合 … 払った時に全部を損金計上です。
・短期払いの場合 … 払った時は一部だけ損金計上です(残りはその後に損金計上です)。


具体例 … 無解約返戻金型の定期保険または第三分野保険、保険期間10年の場合
・決算月に加入し、全期払いの年払保険料12を支払った(総保険料は12×10年=120)

借方 貸方
支払保険料(損金)  12 現預金  12

この契約の1か月分の保障に対する保険料は1です(総保険料120÷保険期間120カ月)。そして保険料12を払った時期が決算月なのでその事業年度の残月数は1か月です。したがって保険料12のうち1か月分の1だけを損金計上し残りの11か月分は資産計上するのが原則です。しかし、保険料12は1年間の保障の対価なので短期前払費用ルール(払った額が1年以内の対価の場合は月数按分しなくていいルール)が適用できます。したがって原則にかかわらず実務では払った額12の全部を損金計上します。


・決算月に加入し、2年短期払いの年払保険料60を支払った(総保険料は60×2年=120)

借方 貸方

支払保険料(損金)  1

前払保険料(資産)  59

現預金  60

この契約の1か月分の保障に対する保険料は1です(総保険料120÷保険期間120カ月)。そして保険料60を払った時期が決算月なのでその事業年度の残月数は1か月です。したがって保険料60のうち1か月分の1だけを損金計上し残りの59か月分は資産計上します。保険料60はいわば5年分の保障の対価なので、前述の短期前払費用ルール(払った額が1年以内の対価の場合は月数按分しなくていいルール)は適用できません。なお、資産計上額はその後、期間の経過に応じて取り崩して損金計上していきます。

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