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相続税の申告期限は本当に10カ月? 2021.09.09

●実際は10カ月より短ことも
もちろん相続税の申告期限は相続日から10カ月です。しかし実際は「事実上8カ月」などということもあります。相続税がかかるほどの財産があるために遺産分割協議を相続税の申告期限まで済ませたい場合にはこのことに注意してください。


●なぜ8カ月か
「故人が仏さまのもとに旅経つ四十九日までは財産の話はやめておこう」「財産のことは納骨が終わってから話そう」と相続人たちが考えたりするからです。

四十九日法要は命日から49日後またはその少し前あたりで行われることが多いので、単純計算すると10カ月-49日≒8カ月というとになります。ちなみに納骨の時期に決まりはないのですが四十九日法要の時に行われることがよくあります。

●なぜ遺産分割協議を相続税申告期限までに済ませたいか
本来払わなくてもよい多額の相続税の支払いに大変な思いをするかもしれないからです。

遺産分割協議に法律上の期限はありませんが、それが相続税の申告期限までに終わらないと配偶者の税額軽減や小規模宅地等の評価減などの相続税が安くなる特例が使えません。すると申告期限にはこれら特例を使わない場合の多額の相続税をいったん納めることになってしまいます。もちろんその後、遺産分割協議が完了すれば原則としてこれら特例を適用できますから納めすぎた相続税は還付されます。

しかし「いったん」とはいえ何百万円~何億円もの相続税を払うのは大変です。被相続人の預金は当てにできるとは限りません。なぜならその預金も遺産分割未了のため使えないわけですから。

これを回避するために以下の方法が考えられます。
・配偶者が相続する財産だけ先に遺産分割する(配偶者の税額軽減が使える)
・小規模宅地等の評価減の土地だけ先に遺産分割する(小規模宅地等の評価減が使える)
・預金だけ先に遺産分割するまたは相続人全員の合意で払戻す(いったん納税ができる)
ただし全財産の分割コンセプトが決まっていない状態で、一部財産の分割について相続人全員が合意するかどうかはわかりません。
(*)そもそも
遺産分割協議は全財産の分け方を一度に決めなくてもいいものです。このように財産の一部の分け方だけを決めることは可能です。

 

●死亡保険金は遺産分割協議を相続税申告期限までに済ますことに貢献します
死亡保険金があると遺産分割協議の早い決着につながりやすいです。たとえば分けにくい不動産・自社株式を後継者と後継者以外でどう分けるかで協議が長引くことがありますが、不動産・自社株式は後継者、死亡保険金は後継者以外、とすればそれを回避できます。

この場合後継者以外への死亡保険金の渡し方を、「直接」「代償分割」「負担付き遺贈」のどれにするかの検討は必要ですが、いずれであれ死亡保険金がスムースな遺産分割協議に寄与することに変わりありません。

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