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岸田首相が打破を訴える1億円の壁とは 2021.10.06

●最近の新聞記事より
岸田氏は総裁選の政策パンフレットで「1億円の壁の打破」を訴えた。(1億円の壁とは)おおむね所得1億円を境に所得税の負担率が低くなる現状を指す。

●所得1億円を超えるとどうして所得税の負担率が下がるのか
所得が1億円を超えると税率が下がる仕組みが存在するからではなく、所得1億円を超えるような人は税率の低い所得で稼いでいることが多いから、です。
つまり所得1億円超の人の所得は下記(1)より(2)のほうが多いことが
一般的だからです。

(1)総合所得(事業所得、不動産所得、給与所得など)…最高55%(所得税・住民税)
(2)金融所得(株式の譲渡所得・上場株式の配当所得など)…一律20%(所得税・住民税

●統計で確認
国税庁の統計から
総合所得・金融所得の内訳比率を推計すると前述のことが確認できます。所得が1億円を超えるとはじめて総合所得<金融所得となることが分かります。

総合所得・金融所得の内訳比率
所得が300万円超~500万円以下の人    …総合所得97% 金融所得など 3%

所得が500万円超~1000万円以下の人  …総合所得93% 金融所得など 7%
所得が1000万円超~2000万円以下の人…総合所得88% 金融所得など12%
所得が2000万円超~5000万円以下の人…総合所得77% 金融所得など23%
所得が5000万円超~1億円以下の人    …総合所得60% 金融所得など40%
所得が1億円超の人                           …総合所得25% 金融所得など75%
(注)国税庁の
令和1年申告所得税標本調査結果を基に辻が推計しています。

●税制改正への影響
冒頭の「1億円の壁の打破」は金融所得の課税強化を意味します。そしてそのような税制改正がされるのかということですが現時点では予測は難しいです。いずれにしろ金融所得の課税強化=株式市場を冷やす=景気が悪くなるという反対意見に、新内閣がどう向き合うかにかかっていると思います。

 

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