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改正民法における贈与~ふたつの10年ルール~   2021.11.04

●お伝えしたいこと
改正民法では贈与に関して次のふたつのルールがあります。
・遺留分侵害額請求に関する贈与の10年ルール
・遺産分割に関する贈与の10年ルール
ネットなどで調べる時にはこれらを混同しないように注意しましょう。

●贈与に関するふたつの10年ルール
1.遺留分侵害額請求に関するもの
遺留分計算のベース財産に相続開始の10年超え前に行った贈与財産は考慮しない。適用開始は令和1年7月からです。
2.遺産分割に関するもの
相続開始から10年経過後に行う遺産分割では分割のベース財産に贈与財産を考慮しない(そもそも遺産分割そのものには法的期限はありません。それを前提とした取扱いです)。まだ適用開始されていませんが令和5年4月までに開始される予定です。
なお、上記1、2ともに例外的取り扱いがありますがその説明は省略します。

●具体例
それぞれを具体例で確認しましょう。相続人は子A・子Bの2人とします。
遺留分侵害額請求の10年ルール
①遺産と贈与財産
 被相続人が死亡した時の遺産…80(子Aにすべて相続させる遺言書がある)
 被相続人の生前における子Aへの贈与財産…20
②贈与が相続開始の10年以内に行われていた場合
 遺留分計算のベース財産…100(遺産80+贈与20)
 子Bが請求できる遺留分…上記100×1/4=25
③贈与が相続開始の10年超え前に行われていた場合
​ 遺留分計算のベース財産…80(遺産のみ)
 子Bが請求できる遺留分…上記80×1/4=20

遺産分割の10年ルール
①遺産と贈与財産 
 被相続人が死亡した時の遺産…80(遺言書はないので遺産分割の必要がある) 
 被相続人の生前における子Aへの贈与財産…20
②遺産分割が相続開始から10年以内に行われた場合 
 分割のベース財産…100(遺産80+贈与20) 
 相続分どおりに分割した場合…子Aは遺産30(贈与20が考慮される)、子Bは遺産50
 (そもそも分割はABで自由に決められますが、上記は相続分どおりに分割した場合です。以下同じ)
③遺産分割が相続開始から10年経過後に行われた場合 
 分割のベース財産…80(遺産のみ)
 相続分どおりに分割した場合…子Aは遺産40(贈与20は考慮されない)、子Bは遺産40

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