読むセミナー


路線価評価の最高裁判決から学ぶべきこと  2022.05.16

●事件の概要
相続税に関する事件です。被相続人が生前に購入したマンションの土地を路線価で評価した相続人に対して、税務署はその土地については路線価では安すぎる。それよりも高い不動産鑑定評価が妥当だとしました。これを不満として相続人が提訴しましたが、このたび最高裁判決が出て相続人の負けが確定しました。

●判決の要旨(簡易な表現にしています)
1.不動産を路線価で評価することが当たり前である中で特定の人に対してだけ路線価評価を認めないことは課税の平等原則に反する。 
2.しかし路線価評価を認めないことにそれなりの理由がある場合は別である。今回は購入したマンションの土地を路線価で評価することにより課税対象額が購入前の約6億円から0円になった。これは「それなりの理由」に該当する。よって税務署が路線価評価を認めなかったことは正しい。

●学ぶべきこと
次の二つだと思います。
○今後も購入した不動産を路線価で評価することは問題ない
上記1のとおり特定の者だけ路線価評価を認めないのは原則として不公平であるとしています。つまり路線価評価それ自体はあるべきルールと認めています。
○極端に課税対象が減少しないように気を付ける
上記2のとおり路線価評価がもたらす課税対象の減少効果を取りすぎたことを問題視しています。「やりすぎ注意」ということだと思います。

●やりすぎとはどの程度
今回は課税対象が約6億円から0円になったことをいわば「やりすぎ」としています。程度について数字的な線引きは困難ですが、それでは物足りないと思いますので、具体例に書いてみます。ただしあくまでも個人的見解ですのでご注意下さい。
○課税対象が6億円から3億円になった…やりすぎ
​○課税対象が6億円から4億円になった…やりすぎではない

●そのほかの学ぶべきこと
今回は判決の決め手は何といっても「6億円→0円」だと思います。このほかにも「目的は相続税節税」ということをうかがわせる銀行の内部資料があった、相続直後に不動産の一部を売却した、などの事実もありました。これらも判決に影響を与えています。
したがって、不動産購入について節税以外の理由が説明できること(賃貸事業の拡大のため、自分や親族が住むためなど)、相続後も所有し続けること、なども学ぶべきことです。

ご予約・お問合せ

ご予約

下記からお願いいたします。24時間受け付けております。

お問合せ

ご予約の前にお聞きになりたいことがある場合は下記のお問合せフォームまたはお電話でお願いいたします。

03-6423-0640