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生命保険の有償譲渡(会社→社長)に取締役会の決議は必要?     2022.06.20

●お伝えしたいこと
会社から社長への生命保険の有償譲渡は利益相反取引に該当しますので原則として一定の手続きが必要です。手続きは会社によって異なり次の3ケースがあります。
・取締役会の決議   ​・株主総会の決議  ・手続き不要
(注)役員退職金としての生命保険の現物支給は記事の対象ではありません。

●利益相反取引とは
会社と社長(正確には取締役)との間で行われる資産譲渡などの取引をいいます。資産には生命保険も含まれます。
生命保険の有償譲渡(会社→社長)の例では、譲渡対価が適正金額の解約返戻金よりも安いと売り手である会社が損をします(買い手の社長は得をします)。会社がこのような損失を受けないように会社法では利益相反取引に一定の手続きを求めているのです。
(注)ホワイトデイ税制の適用を受ける有償譲渡も利益相反取引です。ただしこの場合に会社法上の適正金額をどう考えるのかは明確ではありません。

●取締役会の決議が必要なケース
取締役会設置会社(登記内容に取締役会設置の記載がある会社)の場合です。取締役の過半数が出席かつ出席者の過半数の賛成で譲渡が可能になります。この際に当事者である社長は決議に参加できません。

●株主総会の決議が必要なケース
取締役会非設置会社(登記内容に取締役会設置の記載がない会社)の場合です。株主の過半数が出席かつ出席者の過半数の賛成で譲渡が可能になります。この際に当事者である社長が株主である場合は、株主としては当事者ではありませんから決議参加は可能です。

●手続き不要のケース
取締役会設置会社、非設置会社に関わらず、次の場合は手続き不要とされています。
・その譲渡について株主全員の同意が得られている場合
・当事者である社長が唯一の株主である場合

●必要な手続きをしないで譲渡した場合
次の法的措置が可能です。
・会社(社長以外の取締役)が譲渡の無効を訴える。この場合損失の有無は関係ありません。
・損失が生じた場合は会社(同上)または株主が社長に対して損害賠償請求をする。
一方で、手続きなしで利益相反取引が行われても、これらの法的措置が行われなければ結果として何も起きません。

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