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土地の時価:路線価=10:8という一般論の落とし穴   2022.07.04

●お伝えしたいこと
相続税の路線価で土地の価値を考えると次のような問題が生じることがあります。
・遺産分割協議 … 相続人間で土地の価格を巡り思わぬ意見の食い違いが生じてしまった。
・遺言書 … その土地について遺言書を書いたら遺留分を侵害する内容になってしまった。
これらの問題は土地の時価と路線価の乖離が大きい場合に起こりやすくなります。
一般論としては時価:路線価=10:8といわれています(注)。この程度なら問題が生じにくいかもしれません。しかしその差があまりに大きくなると様子が変わることがあります。
(注)正確には公示地価:路線価=10:8です。公示地価は時価(実際の取引価格)の調査結果として公表されていますで、ここでは公示地価に代えて時価を用いて説明しています。

●時価と路線価が大きく乖離している実例
この記事現在で、実際に広告が出されているある更地(建物がない土地)の売出価格と私が調べたその土地の路線価評価額を比較してみます。場所は東京都心の一等地です。
売出価格4.3億円 路線価評価額1.8億円 
この売出価格を時価と仮定して路線価評価額との比率を算定すると、時価:路線価=10:4.2となります。一般論の10:8とは程遠い結果です。
これは金融緩和が長年続いている中、買い手の潤沢な資金が需要のある土地により集中して向かっている結果と考えられます。10:8は一般論としては正しいのですが、買い需要が旺盛な地域(そもそも地価が高い地域)では10:8が成り立たない場合があります。

●問題は相続人の認識差
遺産分割協議でこの土地を取得する予定の相続人がその価値を路線価の1.8億円と認識し、一方で他の相続人は時価の4.3億円と考えていたとすると、公平性を測るの数値基準がお互いに違うため協議がまとまらなくなる可能性があります。
また、この土地をある相続人に相続させる遺言書があったら、他の相続人は遺留分侵害の可能性を調べ始めるかもしれません。
路線価は税理士が作る相続税申告書に書いてありますからすぐにわかります。一方で時価はその気になって情報を取りにいかないと入手できません。土地を取得する人は入手簡単な相続税申告書の価格で認識し、そうでない人は不動産会社などで時価を一生懸命調べる、ということがあったりするわけです。

●令和4年の路線価が公表されたました
さる7月1日に国税庁から令和4年の路線価が公表されました。これを機に所有する土地の時価と路線価の乖離を確認しておくことをお勧めします。その結果も踏まえて今後の相続対策を検討することが肝心です。

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