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相続放棄できるか~死亡保険金と被相続人の契約者貸付が相殺された場合 2024.08.13

●お伝えしたいこと
被相続人の契約者貸付が相殺された後の死亡保険金を相続人が受取った場合、その相続人は相続放棄できるのでしょうか。死亡保険金を受取っても相続放棄はできます。一方で被相続人の債務を返済してしまうと相続放棄はできません。これら相反することが同時発生しているので迷ってしまうわけですが、この場合は相続放棄ができます。

●どのようなケースか
次の①~④の事実が生じた場合です。
①Aが、契約者(保険料負担者):A 被保険者:A 受取人:相続人B の契約をした。
②上記①の後に、Aが、この契約から契約者貸付を受けた。
③上記②の後に、Aが、契約者貸付を返済せずに死亡した。
④上記③の後に、Bが、契約者貸付相殺後の死亡保険金を受取った。

●相続放棄できる理由
相続人Bは被相続人Aの債務を死亡保険金で返済したことになります。また死亡保険金は相続人Bの固有財産です。つまり相続人Bは自身の固有財産で被相続人Aの債務を返済したことになります。ところで相続放棄ができないのは相続人Bが被相続人Aの債務をAの相続財産で返済した場合です。これは相続人による相続財産の処分に該当し、この行為が相続放棄できない理由になります。以上から返済財源が相続財産ではない前述のケースでは相続放棄ができることになります。次の判例をご参考にしてください。

福岡高等裁判所(平成10年12月22日)
・・・相続債務の一部弁済行為は、自らの固有財産である死亡保険金をもってしたものであるから、これが相続財産の一部を処分したことにあたらないことは明らかである。・・・

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