読むセミナー


経理処理シリーズ~払済(例外)~   2020.11.12

新型コロナウイルスによる資金繰り対策で既存の生命保険契約を払済にする会社も多いと思います。そこで払済の経理処理を二回に分けて説明します。今回は例外の処理です。
*保険料が給与課税される契約形態はこのコラムの対象外です。ご注意ください。

●二つの経理処理
払済の経理処理には原則と例外があります。
*原則 … 洗い替え処理をする
上記の処理後ですが、定期保険・第三分野保険は洗い替え処理により計上した資産を一定のルールで取崩していきます。

*例外 … 経理処理を何もしない
よく「払済は保険種類によっては経理処理をしない」という言い方をしますがこれは正確ではありません。正確には「どんな保険種類でも経理処理をするのが原則。ただし一定の条件に該当する場合は経理処理をしなくてもいいという例外がある」ということです。

●社長さんのご希望という視点から経理処理を眺めると…
払済の原則は洗い替え処理ですから雑収入や雑損失が生じます(前回を参照)。つまり、損益計算書の利益や税金の増減に影響します。したがって、社長さんが次のようにおっしゃることもあります。
・雑収入が生じるケース
「払済したいが税金が増えるのは困る。経理処理しなくて済む方法はないか」
・雑損失が生じるケース
「払済したいが損失が生じるのは困る。経理処理しなくて済む方法はないか」
これらに応えるには、経理処理を何もしない例外が適しています。


●例外処理の注意点
とはいっても例外処理ができないケースが3つあります。それらを以下に列挙します。あわせて、(例外処理ができない理由)(不明確な点)も説明します。
①特約が付いている契約を払済にする(主契約特約ともに洗い替え)
(例外処理ができない理由)払済により特約は消滅し、特約の解約返戻金は主契約の保険料に充当され、主契約はあらたな保険料を受け入れる結果となりますので、契約全体を解約して新しい保険に加入したとみなしたからだと思います(したがって特約と主契約の全体を洗い替えします)。
(不明確な点)特約には解約返戻金の有無、保険給付の有無など様々ですが、例外処理ができない特約の範囲は明確ではありません。少なくても解約返戻金のある特約付きの契約は例外処理ができないと考えてください。

②契約者貸付や自動振替貸付が付いている契約を払済にする
(例外処理できない理由)これらの貸付は払済により返済されます。したがって解約したことと同じだからです。
(不明確な点)払済前の契約のうち、貸付の返済により消滅する部分は洗い替え、払済保険として残る部分は例外処理、でもいいのではという考え方もありますが、その取扱いは明確ではありません。

③払済後の保険種類が払済前と異なる
(例外処理ができない理由)払済前の契約を解約して新しい保険に加入したことと同じだからです。
(不明確な点)保険種類が異なるとは何かついて、例えば、逓増定期保険から終身保険への払済ならばわかりますが、逓増定期保険から平準定期保険への払済は保険種類が異なるのか同じなのか疑問です。この取扱いも明確ではありません。

●契約日の違いによる払済の例外処理
・法人税の通達上
例外処理ができる保険種類は、契約日が令和元年7月8日前か以後かによって異なります。
令和元年7月8日前の契約 … 終身保険、養老保険、年金保険
令和元年7月8日以後の契約 … 終身保険、養老保険、年金保険、定期保険、第三分野保険
・実務上
上記にかかわらず、実務では契約日がいずれでも令和元年7月8日以後の取扱いで問題ないようです。

ご予約・お問合せ

ご予約

下記からお願いいたします。24時間受け付けております。

お問合せ

ご予約の前にお聞きになりたいことがある場合は下記のお問合せフォームまたはお電話でお願いいたします。

03-6423-0640